【三毛別ヒグマ事件から110年】事件の起きた苫前町では今も巨大ヒグマの出没が続く…先人の思いを継ぐハンターや悲劇の記憶を後世に伝える取り組みなど―クマとの共生を模索する町の姿〈北海道苫前町〉
その春義さんから幼少期にクマ撃ちに誘われハンターになった林さん。
すべてを学び、共に故郷を守り続けてきました。
「”沢底から上にいるクマを撃つな”。”少しでも高いところに上がって二の矢を撃つなど出来るようにして撃て”と」
「(刀見つめて)ありがたいなと思う。世話になってるから。やっぱりもらったときは嬉しかった」
「大先輩の気持ちが入っていると思う」(全て林会長)
「突然1頭のクマが壁を破って飛び込んできました」
辛い記憶を今だからこそ知ってもらいたい。
町では「三毛別ヒグマ事件」を語り継ぐ取り組みが進んでいます。
頭が獅子ではなくクマという「苫前くま獅子舞」も、町民らで50年以上紡いできた事件を後世に伝える表現の一つです。
「こっちは牙は木。だからぶつかるとケガをする」(苫前町くま獅子舞保存会 花井秀昭会長)
くま獅子舞の保存会で会長を務める花井秀昭さん。
子どもの頃に聞いた話が記憶から離れませんでした。
「おばあちゃんから事件当時クマが襲ってきて、骨をかみ砕く音が聞こえたという話をうちのおふくろが聞いていた」(花井会長)
担い手不足で一時は活動が止まりましたが、町の子どもたちがメンバーに加わり復活。
歴史を次の世代へと繋いでいます。
「楽しい・嬉しい事件ではないので、引きずるのかとの話もあった。でも、こういう人がいたから今の苫前がある。そういったことを後世に伝えていかなければならない」(花井会長)
悲劇の地でクマと共に生きていかなければならないという現実。
「共生というのはお互いに認識しあって認め合ってという意味。お互いに恐れて近づけないように、それしかしょうがない」(林会長)
先人たちの思いを胸に、林さんは、動き続けます。
「撃ちたくて撃つというよりも、撃たなければならないから撃つ」
「クマが増えて誰かが犠牲になることを防ぐためには、今できることをやらなければならない」(林会長)
























