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”演劇は不要不急じゃない” 斎藤歩が最後に仕掛けた“笑いと不条理“4年ぶり再演『劇後鼎談(アフタートーク)』が問いかける、演劇の意味 <北海道・札幌市>

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4年後の今、“あれ何だったんだろう”と振り返る

札幌座・西田薫さん

札幌座・西田薫さん

 「ちょうど、初演から4年経って、みんながコロナ禍を客観的に振り返るのにいい時期かなって思ったんですよ。これが10年経っちゃうと、もう昔話になっちゃう。だけど今なら、消毒したり、アクリル板を置いたりしていたあの時の感覚がまだリアルに思い出せる。その中で、“あれ何だったんだろう?”と振り返るきっかけになるかもしれないと思って、再演を決めました」


 再演に向けた本読みは2025年4月1日に行われました。奇跡的に全員のスケジュールが合ったその日、斎藤さんは一度だけキャストと向き合い、脚本を読み合わせました。そのときすでに、いくつかのセリフに斎藤さん自身が手を入れていたそうです。ですが、それ以上の演出指示やアドバイスは残されていませんでした。

 稽古に臨む札幌座・俳優の西田薫さんは、夫、斎藤さんの“ある教え”が浮かんでくるといいます。「常に言われていたのが、しっかり相手のセリフを受けるということ。覚えたてだったりすると、次のセリフ言わなきゃと思ってしまうのですが、ちゃんと相手のセリフを受けてということをものすごく言われたなって思いながら今やっています」

 「俳優ってどうしても“出す”ことに一生懸命になりがちですが、いい俳優、ちゃんとお芝居をする人って、やっぱり“受ける”ことが本当に上手だなと感じるので、だから私もしっかり“受ける”芝居をしていきたいと思っています」

新たなキャストを迎えた再挑戦

稽古中の山本将平さん(左)、納谷真大さん(右)

稽古中の山本将平さん(左)、納谷真大さん(右)

 稽古が本格化したのは7月7日から。初演から参加している磯貝さんや西田さんら札幌座のメンバーに加え、今回、ELEVEN NINESから納谷真大さん、明逸人さんが参加します。


 「動きでごまかすこともできないし、セリフも理屈で覚えないと出てこない。『これ本当ムズい』って、納谷さんと明さんも言っていて。役者にとっては難しいですよね」

 演出家不在のなか、俯瞰で全体を見る視点の重要性を感じながらも、キャストたちは試行錯誤を重ねています。「明さんと納谷さんが、それぞれの持ち味を活かしつつ、歩さんが示した方向にどう寄せていくかっていうその“バランス”を、これからの稽古で詰めていくことになると思います」と磯貝さん。

 そして、キャストの一人でもある西田さんもこう語ります。
 「当初は出演も予定していた斎藤歩は出演せず、演出もせずということになっておりますが、その思いをしっかりと札幌座のメンバーは受け継ぎながら、新たな作品としてお届けしたい。

 でも、楽しんでいただける、ただのアフタートークじゃないよ。ちょっと変なところに行っちゃうアフタートークだよね」

 「斎藤歩がいなくなったっていうことで、じゃあつまんなくなったんじゃない?とは思われたくはないですね。『斎藤歩がこうやって、種をまいていったものを、しっかりこれからも育てて、いけそうだね』と思っていただけたらいいなと思います」


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